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Pine Valley(パインバレー)

/横浜市金沢区のハーレー専門店

Pine Valley(パインバレー)

/横浜市金沢区のハーレー専門店

横浜市金沢区に、“ハーレー乗りの聖地”となっているパーツメーカー&カスタマイズショップがあるのをご存知でしょうか? ハーレーといえば、アメリカ製大型バイク「ハーレーダビッドソン」のこと。昭和世代の人たちには映画「イージー・ライダー」に登場するバイクとしてお馴染みでしょう。かつてはチョッパーと呼ばれるワイルドなカスタマイズで有名でしたが、今ではトラディショナルなタイプからスポーティで洗練されたデザインのものまで幅広いラインナップとなっており、日本にも多くのファンがいます。

産業団地内にあるハーレー専門店「パインバレー」がその場所。さっそく店舗である「幸浦ベース」を訪ねてみると、入口の前に「予約制」の看板が。車やバイクのお店で予約制というのは、あまり聞いたことがありません。
「大変混み合ってしまうので当店は予約制とさせていただいています。お客様にはお手間をかけてしまいますが、その分、スタッフがひとりひとり丁寧に接客いたしますよ」
店舗2階から降りてきた紳士はパインバレー代表の松谷さんです。「当社建物を御案内しましょう」と言われてエレベーターに導かれると、着いた先には何十台ものハーレーが停まっていました。

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「こちらはお客様のハーレーをお預かりしている月極屋内駐車場です。ドアの開閉は指紋認証で、24時間365日いつでも入出庫できますよ。お預かりしている間にスタッフがバイクを整備したり、カスタマイズしたりすることも可能です」
停めてあるバイクのナンバーを見ると、神奈川だけでなく他県のものも。一台あたり数百万円することも珍しくない高級バイクであるハーレー。塗装などが傷みにくい屋内で、セキュリティも完璧な場所に置いておけば安心、という理由から人気で、いつも満車。4階、5階の2フロアが駐車場になっていますが、空き待ちをしている人が何人もいるそうです。

続いて案内されたのは在庫パーツの保管庫兼配送センターでした。「配送は全て外部の業者に委託しています。当社スタッフは専門領域ごとにお客様対応や整備、製品開発などに集中できるというわけです」とのこと。ちなみに在庫パーツはこの建物内だけでなく、専用の配送センターが他にもあるそう。パーツのインターネット通販は同社の主力事業であり、徹底した合理化が図られています。

チューニングブースではシャシダイナモ(車やバイクの馬力等を計測する装置)を使って出力チェックが行われていました。インジェクション(燃料噴射)チューニングを得意とし、全国のバイク用品店などにキャラバンで出向くこともあり、なんと年間400台以上のチューニングを手掛けていると言います。5階建てのビルはまるでハーレーの総合デパート、ハイテク基地のようでした。

松谷社長がパインバレーを起業したのは14年前のこと。それまで大手コンビニエンスストアのオーナーとして手腕を振るってきましたが、不測の事態によって仕事も、それまで暮らしていた住まいも失ってしまいます。当時、唯一の趣味だったのがハーレー。「ほぼ無一文からの新ビジネス・スタート」でしたが、瞬く間に業績を伸ばしました。
「起業したは良いものの資金がないので、アメリカで廃棄されたマフラーを輸入し、日本のインターネットオークションで販売することから始めました。魅力である独特の排気音を伝えるにはどうしたら良いかを考え、YouTubeで動画配信したところ、販売数が一気に増えたのです。当時、動画配信は今ほどメジャーでなく、試行錯誤の連続でした」と語ります。仕入れたのはアメリカの純正マフラー(新車に最初から付いているマフラー)。日本仕様のものとは異なる野太い排気音が付加価値でした。新品に近いコンディションでしたが、当地では不要品であることから扱いが荒く、中にはキズが付いているものも。通常、キズが付いている部品は価値が下がってしまいますが……。
「ハーレーの本場、アメリカで付いたキズですよ! と敢えて伝えることで、むしろ売り上げが伸びたのです。表現の仕方次第で、欠点を魅力に転じることもできることを実感しました」
起業当初、アパートの一室から始めたビジネスでしたが、僅か数年で大規模ショッピングモール内のテナントに出店。そこも手狭になり、現在の地へとやって来ました。コロナ禍にあっても、パーツ販売、チューニング、パーキング事業とも順調そのもの。ユーザー目線に立った丁寧な接客も人気の理由です。

自社の利益を追求するだけでなく、横浜シーサイドフォーラムへの参加など地域活性化にも積極的に取り組んできました。
「車やバイクのカスタマイズ業というと、“騒音がうるさい”“柄の悪い人が集まりそう”など、今でも悪いイメージで語られることの多い業界です。地域社会への参加はそうしたイメージを払拭したいという思いで続けてきました」と語る松谷社長。類い希なビジネスセンスの持ち主であるにもかかわらず、「主役はあくまでお客様と、お客様のモーターライフを支えるスタッフたち」と語る謙虚な姿勢に、成功の秘訣が隠されているようです。

Pine Valleyのホームページ
 

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