ヒト・モノ・コト

西谷寛臣さん

/双葉印刷所 代表取締役

西谷寛臣さん

/双葉印刷所 代表取締役

双葉印刷所は、横浜市金沢区の産業集積地「LINKAI横浜金沢」にある印刷会社です。
現代はあらゆる分野でのIT化が進み、印刷業界は厳しい時代となっていますが、双葉印刷所はこの10年来、増収を続けていると言います。代表の西谷さんにお話を伺いました。

「もともと私は、印刷とは違う分野、今とは異なる地域から横浜金沢にやって来た人間です。前職で印刷物の制作にかかわることはありましたが、印刷そのものに深く関わる機会はありませんでした。

印刷会社の代表となった現在でも、私の役割はひとつでも多くの仕事を受注してくることだと自覚しており、その事に関しては自信をもっています」

現職以前は北海道札幌で、派遣業務を行うベンチャー企業で働いていた……という西谷さん。広告制作から音楽関連のイベント、レンタカー事業など、様々な分野のアウトソーシングを担当していたそうです。奥様の父親が1963年に創業した双葉印刷所の先代社長で、会社存続の危機を救うために横浜に転居、同社代表取締役となりました。

現在、双葉印刷所の業務内容は多岐にわたっています。印刷会社なので企業の会報誌や記念誌、名刺やパンフレット、冊子などの印刷を行っているのは当然ですが、印刷物の発送代行、DMなどを発送する際の住所チェック、返送されてきた宛先のリストアップまでを一貫したサービスとして請け負っているそう。また紙だけでなく、屋外看板等への印刷も行っています。

「屋外広告を作るには、実は資格が必要なんですよ。私たちができることはフレキシブルに何でもやるスタンスです。融通が利かないと、この業界は生き残れませんからね」

最近は手軽に発注できるネット印刷が急速に普及しましたが、クオリティの高い印刷物を依頼主の立場に寄り添って作るには、地域の印刷会社がもつノウハウに優位性があると考えています。

最近はなんと、動画の撮影や編集も業務になっているのだとか。その分野に意欲的なスタッフがいたから始めたとのことで、人が持つ能力やアイデアを最大限に活かそうという経営姿勢が垣間見えます。

西谷さんが仕事上で大切にしているのは、「お客様とともに考える」姿勢。クライアントだけが考えるのでも、印刷会社スタッフだけが考えるのでもなく、一緒に考えることが大切だと語ります。

「お客様が抱えている悩み、潜在的でまだ気付いていない問題点を明らかにし、課題解決するプロセスはどんな仕事にも共通するビジネスの基本。テクニカルなことに依存せず、そうした基本を忘れないことが会社を長く続けるポイントだと感じています。

私が学校を出て最初に就いた仕事は、ホテルの接客業務でした。そこではお客様からの要望に対して、ノーという答えはあり得ないんですね。難しい要望に対しても、なにか解説策がないか、考えてご提案する。そのときに学んだことが、今も活きています」

現場スタッフにも印刷工場内での仕事だけでなく、顧客対応や制作物の納品を担当してもらっているそう。 これは“二足の草鞋”を履くことで、お客様が何を求めているのか、どんなニーズがあるのか、肌で体感できるように……との考えから。

「納品したときに、お客様から直接、ありがとう、と言ってもらえることで、働く意欲の向上にもつながります」

ビジネスに邁進するだけでなく、地域に貢献する活動を重視しているのも西谷さんならではの経営姿勢。これまで地域の清掃活動を行ったり、経営者の勉強会や学校と連携したプログラムを開催してきたりしました。

また印刷工程でどうしても出てしまう余分な紙を近隣の保育園や幼稚園、介護施設などに配り、折り紙やメモ用紙として活用してもらう活動も。そうした活動が横浜市から評価され、「横浜型地域貢献企業」にも認定されました。

「あるイベントで廃棄処分されるはずの紙を使って大きな紙飛行機を作り、みんなで飛ばしたことがあったのですが、とても楽しい試みでした。どんなに小さな会社であっても、何か地域に貢献できることはあるはず。そうした志のある仲間たちと一緒に仕事していきたいですね」と話す西谷さん。今後もLINKAI横浜金沢を盛り上げる存在として、より一層活躍してくれることでしょう。

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