ヒト・モノ・コト

竹内四季さん

/イノカ COO

竹内四季さん

/イノカ COO

三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド Cブロックにある「ベイサイドラウンジ」の前には、アクアリウム(水槽)があります。でも少し前まで、生物は何も入っていませんでした。この不思議な水槽をプロデュースしているのが、東大発の環境ベンチャー企業である「イノカ」。今回は同社COO=Chief Operating Officerの竹内四季さんにお話を伺います。

イノカは自らを「環境移送企業」と呼んでいますが、耳慣れない言葉です。どんな会社なのでしょうか?

「海の中ではサンゴやプランクトン、魚や甲殻類、爬虫類、哺乳類など様々な生物が暮らし、それぞれが複雑に関係し合いながら生きています。そうした生態系を陸上にあるアクアリウムの中でそのまま再現することで、海洋生物と人類の未来に新たな価値をもたらしていこう……というのが当社のビジョンです」

私たちが普段見る水槽で飼育されるのは、数種類の生物がせいぜい。もちろん食べたり、食べられたり、共生したりすることはほとんどありません。しかしイノカ本社にある、さほど大きくない水槽の中には、50種類もの生物が棲み、互いに関係し合っていると言います。

サンゴが含まれているのも特徴。サンゴは健康的な状態で長期的に育てることが非常に難しく、「人工生態系」を成立させながら飼育できているのは、首都圏の中でも恐らくココだけなのだとか。イノカでは水質をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係など、多岐に渡るパラメータのバランスが取られた、自然に限りなく近い環境を「人工生態系」と定義しています。

「現在、当社でCAO=Chief Aquarium Officer(最高アクアリウム責任者)を務めている増田直記さんは、趣味で人工生態系を研究し、サンゴの長期飼育に成功した日本有数のアクアリスト。彼の知識と経験を、最先端のAIやIoT技術と掛け合わせることでイノベーションを起こそうとしています。人工生態系を通して、子供たち、大人たちに水生生物の価値を知ってもらう活動がそのひとつ。また、絶滅危惧種を保護して育て、また海に還すなど、生物多様性を保つ取り組みにも活かせると考えています」

増田さんの脳内にある知識をデータ化し、飼育環境をAIで自動的に管理するシステムを作る構想があるのだとか。イノカでは将来、人類が他の惑星に移住し、宇宙基地内で人工生態系を作るための先進的なプロジェクトにも参画中です。

「ベイサイドラウンジ」前の水槽は今後、体験型の環境教育プログラム「よこはまサンゴ礁ラボ」を通して、サンゴや魚などの生き物が増えていく予定。実は2020年9月5日に第一回目のラボの開校式が行われ、最初のサンゴの植え付けが始まりました。半年後には、すっかり進化した美しいアクアリウムが見られるはずです。三井アウトレットパーク 横浜ベイサイドのCブロック3階にあるので、ぜひ覗いてみてください。

■「よこはまサンゴ礁ラボ」のHP 

■株式会社イノカのHP

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